調査エピソード-その1
不動産の調査には本人以外が依頼人の場合、これは主に担保物権の調査案件のケースが一般的ですが、物件の所有者に極秘の場合があります。よくあることですが一番気を使う案件になります。
報告書に写真を付けるのが通常なので、いかに所有者(居住者)に気付かれないように写真を撮るかがポイントになります。別に悪いことをしているわけではないのに他人のご自宅の写真を撮影するのは後ろめたさがあるものです。仕事をしている訳なので正々堂々としていればいいのと思うのですが。
物件の全体を写真に収める時に重要なことは、いかに画角に収まるかという距離を把握するかということです。自分の立ち位置が決まったら、後は瞬間芸の秒撮でシャッターを押すだけです。
撮影のたびに日本のカメラの機能の高さに感謝しています。自動に設定しておけばまず失敗はあり得ないです。もし相手方に気付かれてしまったら、速やかに退散するか正直に事情を説明するかのどちらかです。事情を説明するにしても、基本的に依頼人の名前は明かさないことが通常です。私はありませんが車で追いかけられたという話も聞きます。仕事で調査をしていますと正直に言うのが正解と思います。
担保調査の場合で、所有者は何らかの債務を負っているので大抵は了解してくれます。慌てないことが一番です。まれなケースとして調査日の前日に火災に遭っていたというケースがありました。家が半焼状態なのです。消防署に火災のあった日時を確認して、依頼日の後の火災でした。当然依頼はキャンセルになりましたが。人々の生(なま)の日常に接する機会が多いです。
経験的に債務を負う場合つまり借金を背負う家は当然ですが生活の荒廃感がどことなく現れています。逆に言えば住まいはとにかく小綺麗にしておくことが幸福への道が開ける第一歩ではないかと思います。整理整頓(小綺麗な佇まい)は成功の第一歩と思います。
余談ついでの話として、調査対象案件には特異な物件もあります。某有名ホテルも新聞に載るような文化財的な案件など様々です。
平成バブルの頃のことですがいわゆる風俗店舗の調査がありました。人通りを避けるつもりで早朝に調査に行くと、大抵は早朝営業をしている店が多く、呼び込みのボーイさんが道路に出ていて、写真を撮るののに苦労することもありましたが、今となっては時代を反映していたのかなと思ったりもします。
金融機関は融資の競争を展開してしのぎを削っていたと言うことでしょう。調査の内容が時代を反映すると言うことになるのでしょうか。