今時、ノルウエイの森

この本は、1987年に刊行された村上春樹さんの小説です。昭和62年は日本がバブルのただ中にあった時代で本のタイトルが洒落ていて一大ブームを巻き起こしていたように思います。この本を読んで初めてビートルズの曲ということを知りました。

小説の舞台が自分が青春時代を過ごした場所で、時代背景もほぼ自分のそれと重なるので、小説の世界を思い描くのは容易だった記憶があります。

『死は生の対局としてではなく、その一部として存在している。』

この小説のテーマのようですが、恋愛小説のテーマになり得るということは、この小説が単なる恋愛小説ではないということかもしれません。

一人の青年の懊悩が軽やかなタッチで描かれていてテーマの重さとバランスされているようです。小説の描かれた時代は学生運動が華やかな時代で著者と同じスタンスであった自分とつい重ねてしまいがちです。そういえば村上さんはスワローズファンで、車はT社ではなくS社が好きなようです。これも自分と重なってしまいます。我田引水。昨年の優勝日本一は歓喜したのではないでしょうか。宗旨替えしていなければ。

ところで、親友のキズキの死とその恋人の直子の死は、自分の読後の感想では死に至る必然性をもっと掘り下げてあったら、理解しやすいと思いました。生と死の問題を扱うのはわかるけれど、なぜ死を選んだのかと言うことの肉付けがもう少しあればと思いました。

下巻の「緑」との愛のキャッチボールは青春小説のような甘酸っぱい香りを思い出させてくれる、読後感をさわやかにしてくれるものです。死から生へと転換して再生していく人間の本来のあり方が伝わってきます。