プチ断食のすすめ

30歳の頃、断食道場に入って12日間くらい断食の体験をしたことがあります。断食と言っても絶食をするわけではなく、決められた方法があって厳しく指導されます。そうでないと危険だからです。まず入所の際に現金及びカード類は全て預けます。空腹に耐えかねて食料を買わないようにするためです。

そして実際に断食をするのは全期間の中間の三分の一の期間です。自分の場合は5日間でした。もっともこの期間にも全く何も口にしないというわけではなく、野菜ジュースのようなドリンクと重湯のようなものは摂取します。

残りの期間のうち前半の三分の一の期間は導入部のようなもので、入所前から油類は制限した上で、徐々におかゆの固さを柔らかくしていきます。したがって断食期間の前日は一分がゆのような食事です。副菜もつきますが。

さらに後半の三分の一の期間は復食期間と言って最も重要な期間とされます。急に重いものは食べてはいけないことになり、ちょうど前記の逆の食事パターンです。ですから油類はもってのほかです。

入所者によって期間はバラバラですから、断食期間中に復食の最後の食事の人のメニューを目の前にすると実に羨ましい思いになります。

時間を決めて散歩とかは自由ですから断食の期間中でも散歩はできます。ただ身体全体に力が入らないので宙に浮いたような状態でのなんとも心許ない歩き方になります。このとき実に不思議な体験をすることもありました。マラソンで言うランナーズハイという感覚に似たようななんとも言えない快感を味わうことになります。不思議な感覚です。

私が断食した目的は、身体を綺麗にするためで、当時宿便とかが話題になっており、断食をすることで宿便を排出できるという考えがありました。ただ、本格的な断食体験でないと頑固な宿便は取り除けないようですが。タール状のものが少し出たと思います。人によっては古便と勘違いする人もいるようですが。世間では腸を綺麗にすることで健康になろうという考え方もありました。

小食健康法という健康法もあるので、内臓を休めるという意味ではいいのかもしれません。思うに筋肉に関しては適度に使うことが筋肉を維持することになり、内臓に関しては逆に休めることが内臓を健康にすることになるようです。余談ですが脳みそも筋肉だという考え方にたてば脳も適度に使うことがいいことだとなるかもしれません。

いずれにしても内臓を休めることは飽食の時代にあっては大切なことかもしれません。そこでプチ断食のすすめですが、1日断食という方法もあります。昼食を食べた後夕食と翌日の朝食をカットして昼食を頂くという方法です。空腹を感じたらリンゴとかは少し食していいと思います。これを一定間隔で実践してみるのもいいかもしれません。

若いときの断食体験の際に感じたことは、まず食べ物に感謝する気持ちが強くなったことです。そしてその感謝の気持ちが自分を取り巻く物や人につながっていくことになります。つまり家族とか人間関係にも感謝の気持ちが少しづつ湧いてくることが最大の収穫であったと思います。